以前、上海の会社前でガラスショーケースの中に携帯電話を2つだけ並べて店を始めた若い男女がいました。
その通りは、比較的貧しい人が住んでいる通りだったこともあり、すぐにつぶれるかな?と思い、毎朝、通勤途中で気にしてみていました。
しばらくすると、ショーケースはジュースで埋められました。
さらにしばらくすると、タバコで埋められました。
こうして、少しずつ商品が増えていき、数カ月後には、3畳ほどのスペースに3つのガラスショーケースを並べる、ちょっとしたコンビニのような店舗になっていました。
近くにコンビニがなかったこともあり、それなりに売れたのかもしれません。
商売の始め方を学んだ気がしました。
1.立地が良かった。
すでに書いた通り、周囲にコンビニがなく、独占状態でした。既製品を買うだけであれば、遠くのコンビニに行かなくても、この店で売っていればここで買いますよね。
2.低リスクで事業を開始した。
最初は携帯電話2台だけが棚卸資産でした。
固定資産がガラスショーケース。
これらは正規料金で仕入れたものではないかもしれません。
拾ってきたものであれば、固定資産簿価はゼロ円。
最初から、仕入れが必要なジュースやたばこをギッシリ在庫するのではなく、少しずつ様子を見ながら商品を拡充していきました。
おそらく借入金もないのだと思います。
現金商売だから、貸し倒れもありません。
小規模事業主であるため増値税(日本でいう消費税)は収めていないと思うので、増値税率(当時は17%)分も利益になっていたはずです。
3.従業員はおそらくゼロ
男女は付き合っているのか結婚しているのかはわかりませんが、二人以外の従業員はいないので、人件費はかかりません。
4.その他の固定費もゼロ
露天商なので、地代は不要です。
ジュースも常温販売なので、冷蔵庫もなく、光熱費も不要です。
無料の照明である太陽が照っている時だけが営業時間です。
5.たぶん税金もゼロ
法人税も個人所得税も収めていないでしょう。
住所不定の商売人ですから。
こんなP/Lだったと想像します。
売上 1170元=10元(売価)×1.17(増値税)×100個(売上数量)
仕入 819元=7元(仕入値)×1.17(増値税)×100個(仕入数量)
粗利 351元
販管費 0元
税前利益 351元
税後利益 351元
男女二人の手取り収入 351元
これだと、仮に40本が売れ残ったとしても、損失は7元×1.17×40本=328元だけなので、まだ赤字にはなりません。
事業を始めるときは、固定費ゼロでスタートすべきだといわれる所以です。
仮にコロナ禍で店を出すことができなくても、収入はゼロにはなってしまいますが、赤字になって日に日に借金が増え続けるような悲劇には至りません。
僕も、脱サラをして、自分の小さい会社を経営していますが、固定費は極小化を図っています。
さすがに、違法行為をするわけにはいかないので、社会保険や税金は納めていますが、一等地に事務所を構えているわけでもありませんし、美人秘書を抱えているわけでもありません。
仕事上で必要な費用はありますが、リスクを下げるために、できるだけ固定費は変動費化するようにしています。
何か作業が必要なときは、自前で従業員やバイトを雇うのではなく、ココナラなどの単発業務委託を使ったりすることで、1回あたりの単価は上がりますが、固定的に支払うをする必要がなくなります。
今流行りのサブスクリプションモデルでのサービス購入は、費用を固定化しますので、加入にはできるだけ慎重になっています。
もちろん、大きく稼ごうと思うと、それなりのリスクを背負わないといけませんので、勝負するときにはリスクを負うことは必要ですが、見栄を張るためのお金などは極力抑制したいものです。
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