洗練された台湾式の鼎泰豊もうまいけど、粗さが残る少し甘めの皮の厚い上海式小籠包も好き。
その上海式の中でも一番好きなのは、ここの小籠包。

11年前に当時の部下に教えてもらってから通う店。
最近は、似た名前の店舗が増えていて、同じ系列なのか、パクリなのかよくわからないけど、ホンモノの富春小籠は、愚园路*镇宁路にある。
特に寒い冬の日に一人だけ会社に残って残業して、心も体も温まりたいときにここで食べる熱々の小籠包が格別。
店に入り、すぐに食券を購入する仕組みだが、いつも混雑していて、後ろに並ぶ人から「早く注文しろよ」との無言の圧力が来るので、慣れていないとかなり焦る。
食券購入後は、さらに難易度が高い。
座席取りだ。
相席上等の店なので、とにかく開いた席を見つけたら、他人よりも早くそこに駆け付けて座る必要がある。
どこにも空席がない時は、次に空きそうな人に山をはり、その近くで待機する。
こういう環境なので、自分が苦労の末に勝ち取った席に座って食べていても、他人の圧力がやむことはない。心が繊細な人は、図々しさ100%の人と一緒に来ないと、せっかくの小籠包も味がしない。
また、席に座ると、店員に座ったことをアピールして、食券を持って行ってもらわないと、座るだけでは何もやってこない。
自らが率先して行動しないと永遠に食べることができない小籠包だ。
それだけ苦労して食べる小籠包は、庶民の味だけど、やたらと美味い。
自分が上海に溶け込めた気がして、一つレベルアップした感覚だ。
この店で落ち着いて食べることができる=上海通と言っても過言ではない。
小籠包だけでなく、ワンタンや春巻きも美味しい。

現地の人は、この店のトンカツも必ず注文している。
トンカツといっても、日本のトンカツのように分厚いものではなく、薄くたたいた肉を上げたサクサク系トンカツ。
よく言えばミラノ風カツレツだ。
池波正太郎が愛した銀座煉瓦亭のポークカツと言った方が適切か。
これにウスターソースをかけて食べると若さがよみがえる気がするのは、僕も年をとったからか。

そんな昭和な店においても、さすがに電子決済は導入されているので安心してください。
夏向きではないけれど、早く食べたい小籠包。
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